電池開発の最前線で日々、奮闘
- 卒業生

株式会社本田技術研究所
経歴
2015年 応用マテリアル工学コース卒業
2017年 大学院工学院材料科学専攻修士課程修了
材料表面化学研究室
応用マテリアル工学コースを選んだ理由
社会でどのように役に立つかイメージできた講義
思い返すと、私は子供のころから、例えば自動車はどうやって作られるのだろうか?といった身近な製品のものづくりに関心がありました。しかし正直、将来像を描く訳でもなく、後から学部を決める総合入試で入学しました。その後、進路を考えないといけない時期、何かの課題をしていた時だったか、周期表を眺めていた際にものを構成する元素の大半が金属であることに改めて気づきました。金属を学べば将来ものづくりの分野へ進む際に選択肢が広がるのではとふと思い至り、本コースへ進むことを考え始めました。偶然、1年生の教養授業で受講していた本コースの先生方の講義がとてもわかりやすく、社会でどのように役に立つかイメージできた講義でもあり、印象に残っていたことがここで学びたいと最終的な決め手となりました。
大学在籍時の研究テーマ
アノード酸化によってAl表面にユニークな特性を発現する多孔質酸化皮膜を形成する研究をしていました。セレン酸やヒ酸など新しい電解質を用いて最適な電気化学条件でアノード酸化することで、皮膜のナノ細孔を自己配列させたり、フォトルミネッセンスを発現させたりすることに取り組み、異なる電解質や条件によって多様な機能を引き出せることに魅了された研究活動でした。これらの成果が将来、センサーや光デバイスへ応用されることで、Alという身近な金属で、世の中を支えることができるかもしれないと、日々、ワクワクしながら研究に取り組んでいました。
現在のお仕事

現在は、将来の電気自動車に搭載される高性能電池の生産技術の開発に従事しています。電池には金属、セラミックス、有機材料など多様な素材が使われており、それらを最適に組み合わせ、使いこなすことが高性能な電池の実現に必要不可欠です。応用マテリアル工学コースで学んだ金属学が、今まさに、私の開発現場で活きています。材料の力でひとの役に立つべく、電池開発の最前線で日々、奮闘しており、次世代技術を現実に変える、その一端を担えることにやりがいを感じています。
材料表面化学研究室の「ここがスゴイ!」
材料表面化学研究室では、熱力学や電気化学をもとに持続可能な社会を支える材料や製造プロセスを追究し、学会発表や論文の投稿など、多くの研究成果を出しています。研究活動の過程では、高い専門性が得られることは勿論、先生方の丁寧なご指導により、ひとに伝える力も鍛えられました。このような研究活動は就職活動でも強いアピールポイントになりました。卒業後は、自動車、電機、素材メーカーなど、幅広いものづくりの現場へ学生を輩出していることも魅力の一つです。
北大での学生の学びや経験
北海道大学では1年生の間に自分の興味に基づいて学部やコースを選べる仕組みがあり、様々な分野の授業や先生方との出会いから広い視野の中から、焦らずじっくりと自分に合った進路を見つけることができます。研究室に配属後は自分のテーマを持ち、実験計画から発表まで主体的に取り組める環境があります。このような自由度の高い学びは成長機会そのものと言え、自主、自立の精神や問題発見力や解決力が醸成されたと感じています。社会に出ていく上で自信につながる学びが得られました。
進路を考え中の皆さんへのメッセージ
私は、身の回りの製品はどう作られているのだろうか?という素朴な疑問から、興味の向く分野が見つかり、現在のものづくりの世界へ進むことにつながったと考えています。応用マテリアル工学コースは、世の中どこでも使われている金属の学びをベースに、最先端の研究や社会で役立つ技術に触れられる場所です。自分の興味を大切にし、ワクワクする方向へ進めば、きっとその先には充実した学びと仕事が待っています。もし迷っているなら、一度、金属の世界をのぞいてみませんか?私のように社会出てからも共にする相棒*が見つかるかもしれませんよ。
*応マテで習ったことを使って仕事しているという意味