想像力を育む環境で日々研究
- 在校生
経歴
2021年3月:応用マテリアル工学コース 卒業
2023年3月:大学院工学院 材料科学専攻 修士課程修了
大学院工学院 材料科学専攻 博士課程3年生
エネルギーメディア変換材料研究室
応用マテリアル工学コースを選んだ理由
先輩方が楽しそうに学生生活を送っていた環境
本コースを選んだ理由は材料の研究に強い興味があったことはもちろんですが、最終的な決め手となったのは、在学中の先輩方がとても楽しそうに学生生活を送っていたことです。当時、本コースのいくつかの研究室を見学した際、お会いした先輩方は皆、生き生きとしていて、その姿に背中を押されました。今では、学生が楽しく学び、本コースを人にも勧められる理由は、ここでの学びや研究が充実していることに加え、その経験が就職面を主として将来の大きな強みとなるからだと感じています。
現在取り組んでいる研究テーマ
アルミニウム(Al)系の相変化材料を用いた潜熱蓄熱について研究しています。潜熱蓄熱は文字通り、物質が相変化する際に発生する潜熱を利用する手法です。潜熱の身近な例で水⇔氷の反応熱があり、両者が混ざり合う時(融解・凝固過程)に0 °Cで一定化するのも潜熱の効果です。つまり、660 °Cで溶けるAlは高温の氷のように熱的に利用できます。しかし、そのままでは金属の漏出や酸化が問題となるため、私はAl系の金属をコアとするマイクロカプセル型の潜熱蓄熱材に関する研究に取り組んできました。本蓄熱材には産業における未利用熱や再生可能エネルギーのさらなる活用に向けた、高度な蓄熱・熱利用技術への応用が期待されます。

エネルギーメディア変換材料研究室の「ここがスゴイ!」
当研究室は、材料開発からプロセス・システム設計までを考えることを特徴とする研究室です。研究テーマとして、次世代潜熱蓄熱技術、省エネルギー酸素製造・置換デバイス、新規製鉄技術の研究に取り組んでいます。一見すると互いに無関係な研究ですが、研究室の掲げるホメオスタシス社会(恒常性を有する持続可能な社会)の創成という究極の目的の下、全てが連携されています。
学生が企業との共同研究に携わる機会も多くあり、自身の行う基礎研究が社会にどのような影響を与えるか、身近な問題として議論できることも魅力です。このように、材料の基礎から応用までを俯瞰する想像力を育む環境が、当研究室のスゴイところです。

北大での学生の学びや経験
北大での学びや経験は、北海道の豊かな自然と、札幌という賑やかな街に強く支えられていると思います。北大札幌キャンパスの広い構内には、川が流れる公園のような空間や、工学部付近のイチョウ並木や大野池、さらにポプラ並木や牛や羊が飼育される農場など、四季折々の風景を楽しめる場所が数多くあります。その一方で、周辺には大通やすすきのといった繁華街もあり、札幌駅から半径1.5 km以内に大学・繁華街・学生にも適した賃貸エリアが収まる立地も魅力です。自然と都市が調和した環境の中で、よく学び、よく遊ぶ、充実した学生生活を送ることができたと感じています。
進路を考え中の皆さんへのメッセージ
「身の周りの製品に使われる材料を1つ挙げ、なぜその材料が用いられるか、その特性とともに説明せよ」これは私が過去に受けたある試験の問いの1つでした。問いに対する考え方は無数にありつつも、私達の生活を支える製品や材料は研究開発によって日々進歩し、それに合わせて考え方もまた変化します。本コースで学ぶことは身の周りの物に対する専門的な視点を養い、研究することは将来の物の在り方を変える、材料工学にはその魅力があります。事実、この実学的要素もまた、本コースの卒業生が幅広い業種で活躍する理由だと思います。興味がある方は応用マテリアル工学コースにぜひ見学に来てみてください!
